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出産というイベントには2つの考え方がある。

1つめは

「母親が赤ちゃんを出産する日」 という考え方。

2つめは

「赤ちゃんがこの世に誕生する日」 という考え方。

産院の先生がどちらの考え方なのかによって

妊婦の運命は大きく変わる・・・・


ちなみに

空弥のときは1つめの考え方の先生だったので

赤ちゃんよりも産む側、つまりワタシをサポートする

妊婦に優しい先生だった。

そして今回は・・・・






006年10月24日 PM2:00

いつもどおり昼食をもしゃもしゃと食べ終え

昼寝でもかまそうかなと思っていたころ

例のアレである。

キューーーー

ん? うんこか? 

あたしはゴハンを食べるとブツが出る、

いわゆる

「ロケットエンピツ体質」である。

(古いな・・若い子ロケットエンピツなんて知ってんのか?)

なんて思っていたら、また


きゅ~~~~~


(;゚∀゚) ・:∴ブッ!

出た!! 陣痛やんか!!

でも、空弥のときに何度も気絶しかけの陣痛をくらってるワタシは


「まだまだこれじゃ屁ぇやな。」


なんていいつつ、メイポにIN♪

そしてギルド告知に


「陣痛ROM」


などと書き込み、更に昼寝をかましていた。

なんせ、前回は陣痛から出産まで41時間もかかったのである。

2人目は早いと言われているけれど

まあまあ、そんなにすぐには産まれへんやろ。


時ごろになって

10分間隔で陣痛が来るようになったので


「明日の朝くらいには産みたいよな~」


なんて呑気にいいつつ

産院までヘボ亭主と、てくてく歩いて入院しに行ったのである。


M5:00

まっだまだ屁陣痛。


「今1件帝王切開が入ってるんでここの部屋で待っててもらえますか?」

「いいですよー。まだまだ屁ですし。」


なんて言っていたら、その30分後・・・


「腰がくだけるぅぅぅぅぅぅぅ」


ちょっと!チョットチョット!!

ほくろのある方がかずや。

いやいや、たっちの見分け方なんてどうでもいい。

それよりも!

悠里サン!あなたスパルタ陣痛じゃないですか!!!


早い!! 早過ぎる展開!!


ぐげげげげげっげげげげげげ


ちょっと!! そこのヘボ!!

なんのために付き添ってんねん??

携帯いじってんと、ワシの腰をさすらんかいっ!!


「ちょ!パパ!! あかん!!ヘルプミー!
 そしてこんばんみ~~~!!!」


「ん~~~?? あ、見て見てー!
 今日のさそり座・・・

 絶好調やって~~~^^」


・・・・・・・・・・・・・


オマエ・・後で殺す。いや、寧ろ今ここで殺す。

しかもさそり座はアンタやろが。

「ちょ! おうし座も見てーな!」 

ってアホかっ!! 

落ち着けワタシ。何を聞いてんねん。

ヘボよ・・・腰をさすれと言うとんのじゃ。

陣痛の記録をとるための、ウソ発見器みたいなマシンを

腰にまいているのだが、

その針がもうすでに振り切っている。


M6:00


「夕食お持ちしましたー。」


あほかっ!! 食えるかっ!!!

え? お? ハンバーグやんか。

しかもめっちゃ美味そうやんか!!

ここ最近、手伝いにと、京都から上京している

ヘボのオカンのうっす~~~い味のゴハンしか食べてなかったワタシは


うおぉぉぉぉぉぉ

ハンバーグ食いてぇぇぇぇ

いや、意地でも食う!!!


陣痛間隔約4~5分。

1回の陣痛が1分弱やから、残り3分。

いまや!!

ほおばれ!! 飲み込めワタシ!

あかん、間に合わん!!

フォ~~~~


波がさってゼエゼエ言いながらまたフォークを握り締め

ハンバーグをむさぼり食うワタシを見て

「オマエ・・なんかすんごいコワイんですけど・・・」

ヘボが部屋の片隅で怯えていた。


M7:00

相変わらずあたしはヘボと2人きり。

陣痛の来かたがハンパじゃない。

ちょっと!チョットチョット!

ほくろのある方がかずや。もうええって。

看護士さ~~~ん???

ああそうですか。あー、そうですねって

帝王切開の人に夢中ですか~~??

ワタシは放置ですか~~~???

キタキタキタキタ!


ふぉぉぉぉぉぉぉぉ


うーん、陣痛を言葉で表現しろと言うならば・・・

高橋レーシングのおっさんが

見事な片輪走行で腹の上を何度も行ったり来たりする感じですかねえ。

そろそろ幻覚が見え始めたこのころ。

高橋レーシングのおっさんは更にスピードをあげた。


M8:00

やっと先生登場。


「うわ、もう子宮口が8cm開いてますよ!!
 分娩室に移動しましょ!!!」


通常、10cmで全開大とされている。

おいおいおい!! ギリやんけ!

見てみい!! おかしいと思った!!

高橋レーシングのおっさんノリノリで運転してるし。


「分娩室まで歩けますか?」

「いやいや、無理ですから。」

「この奥の部屋です。」

「聞けやっ!話を聞けっ!歩けへんからっ!」


壁伝いにカニ歩きするワタシ。しかも全身痙攣しております。

そういやヘボはどこ行った? 

オノレ、笑ってんと支えろやっ!

このオトコ・・・絶対殺す。まずは保険増額や。


M8:30


「そろそろ破水するころなんですがねー」


これがなかなか破水しない。

何回おっさんが片輪走行しても破れない。

ゼエゼエ言い過ぎて

摂った水分500ml4本目。


ちょっと待て。

そういや、空弥のときは

妊婦さんに負担がかかるからと

すぐに破水させてくれたはず。


「先生、もうしんどい。破水させてくれ~~」

「あくまで自然に、赤ちゃんの誕生を見守る方向で。」


出た! パァ~ 閉店ガラガラ!

こいつ赤ちゃん重視か!! まいったやられた!


そうなのだ。

ここで運命が大きく変わるのだ。

母体重視の先生は

陣痛がヨワけりゃ陣痛促進剤を打ってくれるし
(単に出産時間短縮のためだけに打つ病院もあるので
 物議をかもし出しているのも事実。気をつけろ!)

子宮口が開かなければ軟薬を打ってくれるし

最後の最後で便所のスッポンみたいなやつで

吸引分娩してくれるのだ!

実際、空弥のときは↑のフルコースを経験している。

スッポンで引っ張られたせいで

出てきた直後のアイツの頭が

微妙にとがっていたのは、忘れたフリをしておこう。


だが、今回は赤ちゃんの行動を見守れと!


のちのち正気に戻ったときに思えば

そりゃ自然に産まれてくるのを待つほうがいいに決まってる。

ムリヤリ引っ張ったり、子宮を収縮させたり

人工的にやらないほうがいいんだろう。

でも今は・・・

高橋レーシングが爆走している今は・・・
(出産直前は、あいだ15秒くらいで次の陣痛が来るのだ。
 いわば陣痛きっぱなし、ってヤツで・・・)


わが身がかわいいんじゃぁぁぁぁ~~~


冷静な判断ができる思考力など、とうに放棄している。


「んじゃちょっとだけ手伝いますね」


バシャーーーン

すごい・・・破水すげー!!

子宮口が10cmあいてるときの破水の勢いはハンパじゃなかった。

先生水浸しである。

その勢いに一瞬だけ我に返ったが・・・


ぐがががががががが


アカン死ぬ。もう死ぬ。

空弥のときに3回気を失ったあの時間再来である。

悠里すげー!! お腹の中で回転してるのがわかる!!

だって腹がよじれるし!! アホほど痛いし!


ああ、思えば空弥は優しかった、というか回転がゆっくりやったなぁ~


赤ちゃんというのは回転しながら

出てこようとする生き物である。


実際ネジを壁にさすときのことを思い出していただきたい。

ゆっくりネジればあんまり壁に負担がかからない。

勢いよくネジれば・・・・


いった~~~~~~~!!!

痛い!! 空弥のときの何倍も痛い!!!

しかも失神する時間もない。


「頭見えましたよー」


赤ちゃんはこの状態で必ず1回とまる。

肩を出す準備である。

この、‘お股になんかはさまってる状態‘ 実は

究極につらい。


たいがいの病院はこの段階で麻酔して会陰切開する。

お股を切って出口を広げるのだ。

でも一見、虐待めいた行為に思えるが

サクっと切ってくれたほうが傷の治りも早いのだ。

しかし今回は・・・

先生動かず。。。


ナ、ナヌっ?


まさか・・まさか会陰切開なしか?え?

あかん、ムリムリ!!

あんなん出せるワケないやろ!!

まじで。

それでも出せと言うのなら


まず先生、アンタが直径10cmの3キロのうんこを出してみろ!


「はい、いきんでください~」

「もうムリぃぃぃぃ・・・」



006年10月24日(木) 22:09

体重2,770g  身長49cm

この世に悠里が誕生した。

最後、スッポンで引っ張られなかった悠里は

すごくきれいな頭の形で登場した。

が、その代償にあたしのお股は裂けていた。


悠里さん、あなたほんとにスパルタでしたから。

とにかく

あらためて・・ 「初めまして♪」


「初めまして~」


ん? 誰の声? ヘボか!!

そういやいたな、そんなヤツ。ま、そこはスルーで。


「女の子やぁ~」


今更の言葉を口にしながら

またしても立ち会ったヘボ亭主は

今まで見せたこともないような満面の笑みで

悠里に笑いかけていたのであった。


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2006.11.28 / Top↑
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